第2回の前半70分。第1回で触れたGeminiを、自分の部署の仕事にどう入れるかを設計するための土台です。入れてよい情報とだめな情報の線引き、渡す前の加工、そして依頼文を組み立てる型を、公式の指針と最新の数字で押さえます。
第1回で触れたGeminiを、今日は自分の部署の仕事にどう入れるかを設計します。今日は計画を1枚形にする日です。完璧な計画ではなく、粗くてもv1を作りきり、上長と話せる状態にして持ち帰ることをゴールにします。
粗くてもv1を1枚作りきり、上長と話せる状態にして持ち帰ることが今日のゴールです。完璧主義は封印して、まず1枚を形にしてください。
本研修は全3回のシリーズです。第1回は全社員で触れてみる回でした。本日は一歩進めて、自分の部署の仕事にどう入れるかを設計します。第3回はエンジニアの方が対象で、受講者が入れ替わります。皆さまにとっては本日が最終回です。
| 回 | テーマ | 到達点 |
|---|---|---|
| 第1回 | 完全入門編 | 触ってみる / 業務×AI活用マップ作成 |
| 第2回(本日) | 基礎研修 | 自部署にどう適用するかを設計 / 計画書v1 |
| 第3回 | エンジニア向け | 開発タスク体験 / ワークフロー×AI |
第1回の宿題は、業務でGeminiを1回使ってみることでした。うまくいっても、いかなくても構いません。結果を一言だけ共有したあと、第1回で作った業務×AI活用マップを手元に開き、今日はこれを起点に自部署へ落とし込んでいきます。
正しく怖がって正しく使うための時間です。脅すためではなく、入れる/入れないの線引きを自分で判断できるようになるための55分です。公的指針の現在地を確認し、利用者の責務と加工の型を、デモを挟みながら押さえます。
まず、日本の指針がいまどこにあるかを確認します。日本は罰則で縛る規制ではなく、理念と体制で進める段階です。だからこそ、現場の判断基準を各社で持つ必要があります。
EU AI Act は動き続けています。日本企業でもEU向けにサービスを出していれば関係します。規制は日付とともに追う癖をつけてください。
採用・与信・生体認証などの高リスク義務は、当初2026年8月2日適用予定でしたが2027年12月2日へ延期されました。海外の規制は動き続けているので、いつ時点の情報かを必ず添えて扱ってください。
ガイドラインは、AIを提供する側だけでなく、使う側の責務も定めています。現場が押さえるべきは次の7点です。
社内規程では、採用・与信などの意思決定をAIに委ねることを明文で禁止するのが安全側の運用です。AIは案を広げる役、決めるのは人という線引きを持ってください。
Googleの生成AIは、使っているアカウントの種類によって、入力した文章が学習に使われるか、人が中身を見ることがあるかが変わります。会社アカウント(Workspace)は契約上、入力が学習に使われない設計です。それでも機密・個人情報は、念のため入れないのが日本の実務の主流です。迷ったら入れない、やむを得ないときだけ次のマスキングをする、と覚えてください。
| データの種類 | 無料版のGemini | 個人の有料プラン | 会社アカウント(Workspace) |
|---|---|---|---|
| 入力が学習に使われるか | 使われることあり(設定でオフ可) | 無料版と同じ(オフ可) | 契約上 使われない |
| 機密情報(社外秘・契約など) | 原則 入れない | 原則 入れない | 原則 入れない(必要時マスキング) |
| 個人情報(氏名・顧客データ) | 入れない | 入れない | 入れない(必要時マスキング) |
| 要配慮情報(健康・医療など) | 入れない | 入れない | 原則NG(承認+マスキング) |
会社アカウント(Workspace)は入力が学習に使われない設計です。それでも機密・個人情報は念のため入れない。迷ったら入れない、やむを得なければマスキングが原則です。事故は取り返しがつかないので、最初は厳しめの運用から始めてください。
いま自分がどのアカウントでGeminiを使っているかを、毎回確認する癖をつけてください。判別は、ログイン中のメールアドレスの末尾ドメインで見分けられます。
画面右上のアカウント表示で、いまどのアカウントで使っているかを毎回確認してください。この早見表は一般的な目安です。何を入力してよいかの最終判断は、必ず自社の情報取り扱いガイドラインに従ってください。
マスキングとは、氏名や住所のように、そのままでは個人が特定できてしまう情報を、隠したり別の値に置き換えたりして、誰の情報か分からない状態にする作業です。今回の研修では、有料の専用ツールではなく手作業で行います。中心に使うのは、実名や社名を仮の呼び名に置き換えるダミー置換です。
| 方法 | どうする | 例 |
|---|---|---|
| ダミー置換(今回はこれ) | 実名・社名を一律で仮の呼び名に置き換える | 田中花子→顧客A、○○商事→A社 |
| 列ごと削除 | 表の氏名・電話・住所の列を丸ごと消す(塗るより確実) | CSVの個人情報列を削除 |
| 一般化 | 細かい値を大きなくくりに丸める | 37歳→30代、住所→都道府県だけ |
| 仮名化 / 匿名化 | 記号に置き換える。仮名化は対応表で戻せる、匿名化は戻せない | 田中花子→U001(対応表は別に厳重保管) |
後半のハンズオンでは、講師が demo_data/月次顧客対応件数.csv を使って、渡す前に加工する工程を画面でお見せします。手元で試したい方はご一緒にどうぞ。
同じ名前は必ず同じ仮名へ置き換えます(ゆらさない)。迷う列は塗るより消すほうが確実です。最後に、備考欄やフリーコメントに実名が紛れていないか、置換後のファイルを目視で見返します。まずは全員「原則そのままは入れない」から始め、必要なときだけ加工する、の順で身につけてください。
シャドーAIとは、会社が把握していないAI利用のことです。便利だからと個人の無料AIに業務の文章を貼ってしまう場面が、いちばん身近な例です。禁止一辺倒だと、隠れて使うシャドーAIがかえって増えます。使ってよい道を用意する方が安全です。
リスクを並べましたが、入れないものを入れず、出力を自分で確かめる。この2つを守れば、生成AIは日々の作業を確実に軽くしてくれます。この後のハンズオンで、実際にその手応えを作っていきましょう。
ここからは後半のハンズオンで手を動かす内容の予告です。プロンプトの型を確認し、便利機能を画面のデモでご紹介します。無料版や会社の契約プランによっては使えない・上限が違うことがあるため、まずは雰囲気をつかんでいただく位置づけです。
依頼文は、次の5要素を埋めると回答が化けます。曖昧な1回依頼を、この型で構造化する演習を後半で2本行います。
ただし、5要素はいつでも効くわけではありません。効く場面と効かない場面を分けて使ってください。
「ロール付与は事実確認には効かない」といった知見は、いつ・誰の調査かで変わります。数字を引くときは調査時期と出典を添える癖をつけてください。
NotebookLMは、自分が渡した資料だけを根拠に答えたり要約したりするGoogleのツールです。ネット全体から探すのではなく、アップロードしたPDF・Webページ・Googleドキュメントの範囲で答えるので、社内マニュアルや分厚い契約書のように、この資料の中身を正確に知りたい場面に向いています。渡した情報を根拠に答えを組み立てるこの方式は、RAG(検索して見つけた情報をもとに回答を作る方式)と呼ばれます。
バックエンドは2025年12月に Gemini 3 へ切り替わりました。1つのノートに入れられる資料は無料版で50件まで、1ソース最大50万語で、アップロードした資料は学習に使われません。誤りが減るのは、ネット全体でなく手元資料に絞って答えるからです。全員が使えるとは限らないため、今回は画面でお見せします。
非エンジニアの実務は、対話型のGeminiで十分に進みます。まずここを使いこなすのが今日の前提です。開発向けのツールは、こういう世界があるという紹介にとどめ、第3回で開発タスクを体験する方向けの予告とします。
消費者向けGeminiアプリの標準モデルとして一般提供済み。上位の Gemini 3.5 Pro は2026年7月に一般提供をロールアウト中です。
Copilot / Cursor / Claude Code など。Claude Code のモデルは Claude Sonnet 5(2026年6月30日)。非エンジニアの実務は対話型Geminiで進めます。