ORIENTATION ・ LECTURE

プロンプトとセキュリティ判断 座学編
自部署に入れる前の線引きを固める

第2回の前半70分。第1回で触れたGeminiを、自分の部署の仕事にどう入れるかを設計するための土台です。入れてよい情報とだめな情報の線引き、渡す前の加工、そして依頼文を組み立てる型を、公式の指針と最新の数字で押さえます。

2026年7月29日(水)
10:00 - 13:00
対面・法研システムズ様
選抜 10〜15名
この座学で扱うこと
15min

Session 01 前回振り返りと本日のゴール講義

第1回の到達点・全3回の位置づけ・本日持ち帰るもの

55min

Session 02 セキュリティとデータ取扱い講義+デモ

公的指針・利用者の責務・入れる/入れない・マスキング・シャドーAI

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この後 Session 03〜04 はハンズオン別資料

プロンプト5要素の実践・NotebookLMデモ・自部署AI活用計画書v1

SESSION 01 ・ 15min

前回振り返りと本日のゴール

第1回で触れたGeminiを、今日は自分の部署の仕事にどう入れるかを設計します。今日は計画を1枚形にする日です。完璧な計画ではなく、粗くてもv1を作りきり、上長と話せる状態にして持ち帰ることをゴールにします。

01 本日3時間で持ち帰るもの

今日の目標は完璧な計画ではない

粗くてもv1を1枚作りきり、上長と話せる状態にして持ち帰ることが今日のゴールです。完璧主義は封印して、まず1枚を形にしてください。

02 第1回の到達点と本日の位置づけ

本研修は全3回のシリーズです。第1回は全社員で触れてみる回でした。本日は一歩進めて、自分の部署の仕事にどう入れるかを設計します。第3回はエンジニアの方が対象で、受講者が入れ替わります。皆さまにとっては本日が最終回です。

テーマ到達点
第1回完全入門編触ってみる / 業務×AI活用マップ作成
第2回(本日)基礎研修自部署にどう適用するかを設計 / 計画書v1
第3回エンジニア向け開発タスク体験 / ワークフロー×AI

03 前回振り返りの進め方

第1回の宿題は、業務でGeminiを1回使ってみることでした。うまくいっても、いかなくても構いません。結果を一言だけ共有したあと、第1回で作った業務×AI活用マップを手元に開き、今日はこれを起点に自部署へ落とし込んでいきます。

宿題の結果を一言共有
前回のマップを開く
今日の計画づくりへ
SESSION 02 ・ 55min

セキュリティとデータ取扱い

正しく怖がって正しく使うための時間です。脅すためではなく、入れる/入れないの線引きを自分で判断できるようになるための55分です。公的指針の現在地を確認し、利用者の責務と加工の型を、デモを挟みながら押さえます。

01 公的指針の現在地 2026

まず、日本の指針がいまどこにあるかを確認します。日本は罰則で縛る規制ではなく、理念と体制で進める段階です。だからこそ、現場の判断基準を各社で持つ必要があります。

AI事業者ガイドライン 第1.2版
  • 2026年3月31日公表(総務省・経済産業省)
  • AIエージェント・フィジカルAIのリスクを追加整理
  • リスクベースアプローチとAIガバナンスの具体化
日本のAI法
  • 2025年9月1日 全面施行(2025年6月4日公布)
  • 内閣にAI戦略本部を設置、AI基本計画を策定
  • 理念法で罰則規定はなし

02 海外規制の最新更新

EU AI Act は動き続けています。日本企業でもEU向けにサービスを出していれば関係します。規制は日付とともに追う癖をつけてください。

高リスク義務の延期は直近の更新

採用・与信・生体認証などの高リスク義務は、当初2026年8月2日適用予定でしたが2027年12月2日へ延期されました。海外の規制は動き続けているので、いつ時点の情報かを必ず添えて扱ってください。

03 AI利用者が押さえる責務

ガイドラインは、AIを提供する側だけでなく、使う側の責務も定めています。現場が押さえるべきは次の7点です。

意思決定は人が握る

社内規程では、採用・与信などの意思決定をAIに委ねることを明文で禁止するのが安全側の運用です。AIは案を広げる役、決めるのは人という線引きを持ってください。

04 データ取扱い 3環境×情報種別 早見表

Googleの生成AIは、使っているアカウントの種類によって、入力した文章が学習に使われるか、人が中身を見ることがあるかが変わります。会社アカウント(Workspace)は契約上、入力が学習に使われない設計です。それでも機密・個人情報は、念のため入れないのが日本の実務の主流です。迷ったら入れない、やむを得ないときだけ次のマスキングをする、と覚えてください。

データの種類無料版のGemini個人の有料プラン会社アカウント(Workspace)
入力が学習に使われるか使われることあり(設定でオフ可)無料版と同じ(オフ可)契約上 使われない
機密情報(社外秘・契約など)原則 入れない原則 入れない原則 入れない(必要時マスキング)
個人情報(氏名・顧客データ)入れない入れない入れない(必要時マスキング)
要配慮情報(健康・医療など)入れない入れない原則NG(承認+マスキング)
迷ったら入れない

会社アカウント(Workspace)は入力が学習に使われない設計です。それでも機密・個人情報は念のため入れない。迷ったら入れない、やむを得なければマスキングが原則です。事故は取り返しがつかないので、最初は厳しめの運用から始めてください。

05 自分がどの環境かを判別する

いま自分がどのアカウントでGeminiを使っているかを、毎回確認する癖をつけてください。判別は、ログイン中のメールアドレスの末尾ドメインで見分けられます。

最終判断は自社ガイドライン

画面右上のアカウント表示で、いまどのアカウントで使っているかを毎回確認してください。この早見表は一般的な目安です。何を入力してよいかの最終判断は、必ず自社の情報取り扱いガイドラインに従ってください。

06 どうしても使うときは マスキング

マスキングとは、氏名や住所のように、そのままでは個人が特定できてしまう情報を、隠したり別の値に置き換えたりして、誰の情報か分からない状態にする作業です。今回の研修では、有料の専用ツールではなく手作業で行います。中心に使うのは、実名や社名を仮の呼び名に置き換えるダミー置換です。

方法どうする
ダミー置換(今回はこれ)実名・社名を一律で仮の呼び名に置き換える田中花子→顧客A、○○商事→A社
列ごと削除表の氏名・電話・住所の列を丸ごと消す(塗るより確実)CSVの個人情報列を削除
一般化細かい値を大きなくくりに丸める37歳→30代、住所→都道府県だけ
仮名化 / 匿名化記号に置き換える。仮名化は対応表で戻せる、匿名化は戻せない田中花子→U001(対応表は別に厳重保管)

後半のハンズオンでは、講師が demo_data/月次顧客対応件数.csv を使って、渡す前に加工する工程を画面でお見せします。手元で試したい方はご一緒にどうぞ。

1 氏名列を削除
2 顧客A へ置換
3 目視で確認
手作業のコツは3つ

同じ名前は必ず同じ仮名へ置き換えます(ゆらさない)。迷う列は塗るより消すほうが確実です。最後に、備考欄やフリーコメントに実名が紛れていないか、置換後のファイルを目視で見返します。まずは全員「原則そのままは入れない」から始め、必要なときだけ加工する、の順で身につけてください。

07 シャドーAI対策

シャドーAIとは、会社が把握していないAI利用のことです。便利だからと個人の無料AIに業務の文章を貼ってしまう場面が、いちばん身近な例です。禁止一辺倒だと、隠れて使うシャドーAIがかえって増えます。使ってよい道を用意する方が安全です。

約5人に1人
業務利用者のうちシャドーAIに該当
エルテス調査 2026年1月
56%
従業員が承認外AIツールを業務利用(世界)
IDC グローバル調査 2025年

08 押さえる原則5つ

正しく使えば味方になる

リスクを並べましたが、入れないものを入れず、出力を自分で確かめる。この2つを守れば、生成AIは日々の作業を確実に軽くしてくれます。この後のハンズオンで、実際にその手応えを作っていきましょう。

SOURCES
SESSION 補足

後半で扱うこと(予告)

ここからは後半のハンズオンで手を動かす内容の予告です。プロンプトの型を確認し、便利機能を画面のデモでご紹介します。無料版や会社の契約プランによっては使えない・上限が違うことがあるため、まずは雰囲気をつかんでいただく位置づけです。

01 プロンプト5要素と4原則

依頼文は、次の5要素を埋めると回答が化けます。曖昧な1回依頼を、この型で構造化する演習を後半で2本行います。

役割
タスク
状況
出力形式
制約

ただし、5要素はいつでも効くわけではありません。効く場面と効かない場面を分けて使ってください。

統計は調査時期を添えて扱う

「ロール付与は事実確認には効かない」といった知見は、いつ・誰の調査かで変わります。数字を引くときは調査時期と出典を添える癖をつけてください。

02 NotebookLM 自分の資料だけで答えるAI

NotebookLMは、自分が渡した資料だけを根拠に答えたり要約したりするGoogleのツールです。ネット全体から探すのではなく、アップロードしたPDF・Webページ・Googleドキュメントの範囲で答えるので、社内マニュアルや分厚い契約書のように、この資料の中身を正確に知りたい場面に向いています。渡した情報を根拠に答えを組み立てるこの方式は、RAG(検索して見つけた情報をもとに回答を作る方式)と呼ばれます。

バックエンドは2025年12月に Gemini 3 へ切り替わりました。1つのノートに入れられる資料は無料版で50件まで、1ソース最大50万語で、アップロードした資料は学習に使われません。誤りが減るのは、ネット全体でなく手元資料に絞って答えるからです。全員が使えるとは限らないため、今回は画面でお見せします。

03 Gemini とコーディングエージェントの今

非エンジニアの実務は、対話型のGeminiで十分に進みます。まずここを使いこなすのが今日の前提です。開発向けのツールは、こういう世界があるという紹介にとどめ、第3回で開発タスクを体験する方向けの予告とします。

標準モデル

Gemini 3.5 Flash

消費者向けGeminiアプリの標準モデルとして一般提供済み。上位の Gemini 3.5 Pro は2026年7月に一般提供をロールアウト中です。

開発向け(紹介のみ)

コーディングエージェント

Copilot / Cursor / Claude Code など。Claude Code のモデルは Claude Sonnet 5(2026年6月30日)。非エンジニアの実務は対話型Geminiで進めます。

SOURCES